Radeonの命名規則(型番の変遷)

世代・ステップ 主な型番の例 特徴
【ステップ 1】(2013年から15年頃)
R5 / R7 / R9 シリーズ
(小文字のx時代)
R9 290x
R7 360
「R5 / R7 / R9」で性能グレードを分け、さらに上位のモデルに小文字の「x」を付与していた時代。
【ステップ 2】(2016年から18年頃)
RX 400 / 500 シリーズ
(RX・3桁時代)
RX 480
RX 560
ブランド名が「RX」に統一され、3桁のナンバリングが採用された時代。
【ステップ 3】(2019年から)
RX 5000 / 6000 / 7000 / 9000 シリーズ
(RX・4桁時代へ突入)
RX 5700 XT
RX 6700 XT
RX 7600
RX 9070 XTX
競合対策や節目を機に4桁化された現在の主流ライン。5000、6000、7000、9000と世代ごとに進化を続けている。
Radeonの命名規則(型番の変遷)とは、AMD社製GPUにおけるブランド名および世代・性能を表す数字のルールのこと。歴史の中で「3桁から4桁への大ジャンプ」など複雑なリセットが行われた。

概要・定義

「Radeon(ラデオン)」Rシリーズ→rx3桁→rx4桁と変遷している。

Rシリーズ

シリーズ名 具体的な製品名(型番例) 発表・発売年 VRAM容量(仕様) 主な特徴・当時の立ち位置
R5 シリーズ
(エントリー)
Radeon R5 230 / 330 / 340 2014年 〜 2015年 1GB / 2GB (DDR3 / GDDR5) ローエンド枠。ファンレスによる静音モデルや、メーカー製PC(OEM)向けの画面出力・事務用途に特化。
R7 シリーズ
(ミドルレンジ)
Radeon R7 240 / 250 / 260 / 260X 2013年 〜 2014年 1GB / 2GB (DDR3 / GDDR5) 200世代のミドルクラス。250以下は補助電源なしで動作し、260Xは新オーディオ技術等を初搭載した。
Radeon R7 360 / 370 2015年 2GB / 4GB (GDDR5) 300世代のミドルクラス。オンラインゲームをカジュアルに楽しむ層に向けた普及帯の定番モデル。
R9 シリーズ
(ハイエンド)
Radeon R9 270 / 280 / 290 / 290X 2013年 〜 2014年 2GB / 3GB / 4GB (GDDR5) 200世代のハイエンド群。290Xは圧倒的な演算性能を誇り、末尾に小文字の「x」がつく上位ダイの代表格。
Radeon R9 370X / 380 / 390 / 390X 2015年 2GB / 4GB / 8GB (GDDR5) 300世代の主力ハイエンド。390/390Xは大容量8GBメモリを標準搭載し、高解像度環境へ対応した。
Radeon R9 Fury / Fury X / Nano 2015年 4GB (HBM) 革新的な超広帯域メモリ「HBM」を初採用。当時の技術の粋を集めたフラグシップおよびコンパクト最上位枠。

RX 3桁番台シリーズ

シリーズ名 具体的な製品名(型番例) 発表・発売年 VRAM容量(仕様) 主な特徴・当時の立ち位置
RX 400 シリーズ
(RXブランド初代)
Radeon RX 460 2016年 2GB / 4GB (GDDR5) eスポーツ系ゲームをターゲットに、低価格と低消費電力を両立させたエントリー。
Radeon RX 470 / 480 2016年 4GB / 8GB (GDDR5) 14nmプロセス(Polarisアーキテクチャ)を初採用し、高いコスパでVR対応を謳ったミドルアッパー。
RX 500 シリーズ
(400系のリファイン)
Radeon RX 520 / 530 2017年 1GB / 2GB (DDR3 / GDDR5) 主ノートPCやメーカー製OEM向けに供給された超ローエンドモデル。
Radeon RX 570 / 580 / 590 2017年 〜 2018年 4GB / 8GB (GDDR5) Polaris世代の完成形。競合のGTX 1060等と激しいシェア争いを繰り広げたミドルクラスの定番。
Radeon RX 550 / 560 2017年 2GB / 4GB (GDDR5) 補助電源なしモデルも多く用意された、低価格・省電力なエントリー向けグラボ。
Radeon RX Vega
(3桁時代の例外)
Radeon RX Vega 56 / 64 2017年 8GB (HBM2) 型番は3桁ではないが同世代のハイエンド枠。超広帯域メモリHBM2を搭載した、当時のフラグシップ。

RX 4桁番台シリーズ

radeonがいきなり500番から5000番に変化した理由は競合製品(GeForce)との「数字の殴り合い(マーケティング対策)」と「AMD創立50周年」が重なったためです。
当時、ライバルのNVIDIAが4桁の「RTX 2000番台」を展開していたため、ルール通りに3桁の「RX 600」として出すと、ライト層から「性能が低くて古そう」と誤認されるリスクがありました。
そこで、新設計の導入とAMD創立50周年(50th Anniversary)の節目を言い訳にして、見栄えの良い4桁の「RX 5000シリーズ」へと一気にジャンプさせました。

シリーズ名 具体的な製品名(型番例) 発表・発売年 VRAM容量(仕様) 主な特徴・立ち位置
RX 5000 シリーズ
(4桁の初代、rx500→rx5000という変遷)
Radeon RX 5500 XT / 5600 XT 2019年 〜 2020年 4GB / 6GB / 8GB (GDDR6) 価格を抑えつつ、GDDR6メモリによる高速化の恩恵を受けた当時のミドル・エントリークラス。
Radeon RX 5700 / 5700 XT 2019年 8GB (GDDR6) 初のRDNA(第1世代)採用。ここから命名規則が4桁化され、PCIe 4.0にも初対応した記念碑的モデル。
RX 6000 シリーズ Radeon RX 6700 XT / 6800 2020年 〜 2021年 12GB / 16GB (GDDR6) 非常にバランスが良く、中古市場でも長く人気を保っている実力派ミドル〜ハイエンド。
Radeon RX 6500 XT / 6600 / 6600 XT 2021年 〜 2022年 4GB / 8GB (GDDR6) 省電力性に優れ、フルHDゲーミングPCの定番となったミドル〜エントリー。
Radeon RX 6900 XT / 6950 XT 2020年 〜 2022年 16GB (GDDR6) RDNA 2アーキテクチャ。大容量のInfinity Cacheを搭載し、競合のハイエンドと真っ向勝負した世代。
RX 7000 シリーズ Radeon RX 7600 / 7600 XT 2023年 〜 2024年 8GB / 16GB (GDDR6) フルHD環境でのゲーム向け。7600 XTは大容量16GB VRAMを搭載し高コスパで話題に。
Radeon RX 7700 XT / 7800 XT 2023年 12GB / 16GB (GDDR6) WQHD(1440p)での快適なゲームプレイをターゲットにしたアッパーミドル。
Radeon RX 7900 XT / 7900 XTX 2022年末 〜 2023年 20GB / 24GB (GDDR6) RDNA 3アーキテクチャを採用。チプレット技術を初導入したウルトラハイエンド。
RX 9060 シリーズ
(主力ミドル)
Radeon RX 9060 2025年3月6日 8GB (GDDR6 / 128bit) 主にOEM(組み込み)やエントリーゲーマー向けに用意された低消費電力モデル。
Radeon RX 9060 XT
(16GB / 8GBモデル)
2025年6月6日 8GB / 16GB (GDDR6 / 128bit) Computexで発表された主力普及帯。16GB版は実売5万円台から入手可能で、極めて高いVRAMコスパを誇る。
RX 9070 シリーズ
(上位モデル)
Radeon RX 9070 2025年3月7日 12GB (GDDR6 / 192bit) 1440p(WQHD)ゲーミングに特化した高効率ミドルアッパーモデル。
Radeon RX 9070 XT 2025年3月6日 16GB (GDDR6 / 256bit) 第2世代AIアクセラレータと第3世代光線追跡を搭載。大容量16GBにより競合製品に対して圧倒的な価格競争力を持つ。
地域限定等 Radeon RX 9070 GRE 2025年〜 16GB (GDDR6 / 256bit) コストパフォーマンスをさらに突き詰めたバリエーションモデル。

その型番(ナンバリング)は、一見すると数字が不規則に飛び交っているように見えるが、大きく分けて「Rシリーズ(小文字x時代)」「RX 3桁時代」「RX 4桁時代」という3つのステップを経て変遷してきた。

詳細データ / 特徴

Radeonシリーズの主要な変遷ステップと、混乱しやすい「3桁の500」と「4桁の5000」の見分け方は以下の通り。

Radeonの3大ステップ変遷

世代・ステップ 登場時期の目安 主な型番の例 特徴
① Rシリーズ
(小文字x時代)
2013年〜2015年頃 R9 290x
R7 360
「R5 / R7 / R9」で松竹梅のグレードを分け、さらに上位のモデルに小文字の「x」を付与していた。
② RX 3桁シリーズ
(RX黎明期)
2016年〜2018年頃 RX 480
RX 560
ブランド名が「RX」に統一され、3桁のナンバリングが採用された時代。現行のPCゲーム用としてはパワー不足。
③ RX 4桁シリーズ
(近代〜現代)
2019年〜現在 RX 5700 XT
RX 6700 XT
RX 7600
RX 9070
4桁化された現在の主流ライン。5000番台、6000番台、7000番台と世代ごとに正統進化を続けている。

「RX 500」と「RX 5000」を見分けるルール

文字面が酷似しているが、戦闘力は全く異なるため、フリマアプリ等での確認時は以下のポイントに注目する。

  • RX 500シリーズ(例: RX 560): 全体の「桁数」が3桁であり、末尾が必ず「~0」などの数字で終わる。
  • RX 5000シリーズ(例: RX 5700 XT): 全体の「桁数」が4桁であり、末尾に「XT」などのアルファベットが付くことが多い。

8000番台の不在

8000番台の不在の最大の理由は、「すでにCPUの製品名として8000番台や9000番台を使ってしまっていたから」です。 もしグラボ側でルール通りに「Radeon RX 8000シリーズ」として出してしまうと、自作PC市場やBTOパソコンのスペック表で「CPU:Ryzen 8000 ✕ グラボ:Radeon RX 8000」や「CPU:Ryzen 9000 ✕ グラボ:Radeon RX 8000」のような組み合わせが発生し、消費者がどちらの話をしているのか大混乱するリスクがありました。
そのため、グラボ側のナンバリングを1世代分あえてスキップし、CPUとグラボの世代の数字(9000番台)をピタリと一致させるという決断を下しました。

9000番台のルール変更

これまでのRadeonであれば「RX 7600」の次は「RX 9600」になるはずですが、今回は「RX 9060」や「RX 9070」という、これまでにない下2桁のルールが採用されました。
理由は、ライバルであるNVIDIA GeForceの型番(RTX 4060 / 5060、RTX 4070 / 5070など)に完全にぶつけるためです。

  • RX 9060 XT = 「RTX 4060 / 5060クラスへの対抗馬ですよ」
  • RX 9070 XT = 「RTX 4070 / 5070クラスへの対抗馬ですよ」

  • こうすることで、店頭やネット通販で並んだ時に、ユーザーが「あ、性能的にも価格的にもこれが競合製品なんだな」と一瞬で比較できるようにしたのです。

    ネット上での反応・考察

    自作PC界隈や中古市場のBTOパソコン販売において、このRadeonの型番ルールは「最も初心者殺しな罠(モヤモヤポイント)」としてしばしば話題にのぼる。

    特に「RX 560」と「RX 6700 XT」を並べられた際、数字の規則性が直感的に理解しづらいため、「500のすぐ上が6000なのか?」と混乱を招きやすい。また、前述の通り「500」と「5000」はゼロが1個違うだけに見えるが、中身は『一昔前のエントリーパーツ』と『近代的なアーキテクチャのご先祖様』という埋めがたい性能差(5〜6倍以上)がある。

    ネット掲示板などでは、「スペック表の文字面だけを見て安易に3桁RX搭載の中古PCを買うと大失敗する」「AMDのマーケティング(見栄)のせいで、数年間分のナンバリングが宇宙の彼方に消し飛んでいる」といった、大人の事情による「数字の殴り合い」を面白がる独自の考察や注意喚起が定着している。